外資系企業の中国離れ

日米欧を中心とした外資系企業の中国離れが顕著になり始めている。中国日本商会が実施した調査では、2023年の中国投資について半数の企業が「投資しない」や「投資額を減らす」と回答した。この中国離れには4つの経済・政治的要因がある。

第1の要因:中国経済の低迷

23年のGDPは前年比の5.2%増にとどまり、かつてのような高い成長率は見込めず、不動産バブルが崩壊したことによってデフレ傾向が強まる。経済の低迷により、中国人が国外へ脱出している。23年に国外移住する中国の富裕層は前年比25%増の1万3500人となった。

第2の要因:中国政府による監視や処罰の強化

中国政府はデータ3法と呼ばれるインターネット安全法、データ安全法、個人情報保護法を整備した他、改正反スパイ法を施行した。問題は反スパイ法で、スパイ行為の対象が「国家の秘密や情報」に加えて「国家の安全と利益に関わる文書やデータなど」に拡大し、基準がより曖昧になった。それにより外資系企業は市場調査や分析をする際にひつようとなる中央や地方の政府関係者との関わりが難しくなった。

第3の要因:米中対立の深刻化

18年以降、米政府は半導体を中心とした最先端技術の漏洩を防ぐために中国に対する輸出規制を強めてきた。それにより、アメリカ企業はその規制の中でしかビジネスを展開できなくなった。

第4の要因:中国企業の台頭

猛威を振るっているのが自動車産業だ。中国政府がEVを含む新エネルギー車を国策として推進した結果、BYDのような世界の自動車販売上位10社に入る企業も出てきた。それにより日本の自動車メーカーが中国の自動車産業から撤退している。自動車産業はサプライチェーンが広いため、メーカーが撤退するとその影響は広範囲に広がる。

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